kaikannaisatsu050407

勝野金政WEB記念館開設ご挨拶

館長 稲田 明子

このたび念願の亡父・勝野金政の遺業を収録し、歴史の糧にしていただきたいとWEB記念館を設けることにしました。及ばずながら長女の私が館長の任を預かることになりましたのでご挨拶させていただきます。                                     

このWEB記念館開設は旧ソ連日本人粛清犠牲者問題に献身的に取り組んでおられる一橋大学大学院教授・加藤哲郎先生、富山大学名誉教授・藤井一行先生のHPに感動した読者―偶然母校の先輩―S氏のご協力により実現できたものであります。

同氏は「戦後の誤りの多い左翼運動に理想に燃えて飛び込んで人生のエネルギーを無駄に浪費した多くの優秀な友人知人を知っている。昭和初期にスタ−リン体制の弾圧に屈せず生還してソ連の実態を明らかにした人物が戦前の日本にいたことを知って驚いた。この事実が早く広く世間に知られておれば、との思いが強い。また、過酷な状況下にあって、なおも理想を持ち続けて生涯を果たされたお父上の生き様に感動した。WEB記念館を立ち上げてお父上の生き様を示す貴重な記録を公開し、今日、未来に役立てようでは」と励ましてくださいました。

ソ連崩壊後、父の名が書かれてある極秘文書の存在を加藤教授から教わり、それから事が始まりました。名誉回復のとりつけ、モスクワの国家公文書館の父の極秘文書ファイルの閲覧、ゆかりの地の訪問。そして、2001年12月母校早稲田大学での「勝野金政生誕100年記念シンポジュム」が開催されたことで一段落となりました。

このシンポジュムには新聞報道などで知って参加した一般の方々を始め研究者、ジャ−ナリスト、作家、生前父と親交のあった方々、友人たちで小野梓講堂は満席となり、関心の大きさを実感いたしました。

そのなかに「二十世紀における『政治と文学』の神話学」を『新潮』に連載中の作家山口昌男氏が参加され、12月号、2月号は父が主役で登場しました。

また現代史研究家の宮地健一氏がこのシンポジュム後HPに「「革命」作家ゴ−リキ−と「囚人」作家勝野金政」といささかショッキングな称号を冠され、大作を発表されました。

 このWEB記念館は加藤先生、藤井先生、宮地氏のご好意によりそれぞれの立派なHPにリンクさせていただくことになりました。それは父が生涯抱き続けたヒューマニズムの理想をご評価戴いたものでしょう。娘の私としてはこのWEB記念館で父の遺業の全容を構築しながら、私なりの未知の父の世界を映し出してみることになりましよう。そして、この記念館を訪れる方々とともにヒュ−マニズムのある生活を求め、その活動に参加させていただきたく、ここにご挨拶を申し上げ、あわせて、みなさまのご支援をお願いします。

‘05.4.9 父・104回目の誕生日に


inserted by FC2 system